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映画監督:小島 央大

1994年神戸生まれ。
幼少からニューヨークで育ち、中学より帰国し、東京大学建築学部卒業後、映像の世界に飛び込む。映像作家の山田智和の下でアシスタントディレクターを1年半経て、独立。以後、MVやCM、企業VPやVJ、LIVEなど、ジャンルや形態に囚われず、アイデア豊かな様々な映像作品を監督。情緒的な演出と、映画的で上質な色使いを得意とする。
これまで主に手がけてきた作品は、「Superbeaver - 自慢になりたい MV」「中納良恵 - 街空 feat. 折坂悠太 MV」「Daiki Tsuneta x Pasha de Cartier」など。
本作『JOINT』が長編映画監督デビュー作となる。

OFFICIAL INTERVIEW

——いわゆる日本の<ヤクザ映画>と全く異なる迫力があるクライム・ムービーです。今までにないものをつくりたいという強い気持ちが伝わりました。

覚悟してつくったという感じです。めちゃくちゃ大変でした。

——なぜこのジャンルを選んだのですか?

もともとマーティン・スコセッシ監督やマイケル・マン監督などの犯罪映画が好きで、普段僕らが見ない裏の世界や極限に立たされた人間が表す本性みたいなものに惹かれていました。なので映画をつくるならこれしかないという気持ちで企画が始まりました。あとはあの当時群像劇が好きで、日本の犯罪の構造を調べるうちにヤクザとカタギ、そして半グレという複雑な人間の絡み方が見えてきて、今までにない犯罪映画の語り方ができるのではないかと思いました。

——現代のリアルな犯罪の手口や半グレという主人公の見せ方が独創的でした。

<ヤクザ映画>のオラオラ的な手法ではなく、今を生きる人間のリアルなドラマを描くにはどうしたらいいのかをすごく考えました。密着モノの犯罪ドキュメンタリーなどから詐欺や脅迫、喋り方や立振る舞い、犯罪のノウハウなど一通り調べました。その中で、今回の主人公のようなグレーゾーンを生きる半グレの人がすごく映画的な存在だと感じて、軸にすることにしました。白と黒の世界をパートタイムさながらに行き来する。どちらに進むのか、あるいはどちらでもなく自分のグレーを極めるというやり方もある。日本の半グレは世界的に見ても独特な立ち位置で、リサーチは興味が尽きませんでした。

——主演に山本一賢さんを起用した理由をお聞かせください。裏の世界をリアルに描くにはキャスティングが重要だったと思います。

山本さんは、一目見てオーラを感じました。そこにいるだけで空気が変わるんです。もともとは3年前に自主短編映画のオーディションでお会いしていました。そのときに、いつかこの人とは長編映画でご一緒したいと思い、今回実現しました。山本さんと久しぶりにお会いしたときには「オマエ、あのオーディションで落としただろ」とチクリと刺されました。ただその表情とかもやっぱり格好良くて。山本さんが加わったことで石神というキャラクターもストーリーも深まっていきました。

——他の出演者たちも強面揃いで真に迫っていました。キャスティングはどのように進めましたか?

半分はオーディションでお会いした400人くらいの中から。もう半分は意外と山本さんの周りの人たちが個性豊かで、ハマると感じる人との出会いが重なりました。たとえば荒木役の樋口想現さんは普段はバスケットボールの選手なんです。演技は未経験ですが、普段の喋り方や仕草と設定が融けあううちに役柄そのものに見えてくる。観客も先入観がないから役なのか本人なのかが分からない。いかにコイツやばいぞと目を向けてもらうか、ドキュメンタリーに近い生っぽさを出すために色々と試しました。

——撮影期間が4か月と自主映画にしては長いですが、撮影現場はいかがでしたか?

劇中の展開と同様に、『JOINT』は僕自身もどこに向かうのか分からないまま進んでいたところがありました。台本的なものはありましたがそれに従う必要はなく、みんなで撮りながら次に撮るものを決めていくという自主映画ならではの贅沢なやり方をしていました。プロではない役者も多いのでアドリブも多く入れて。キャメラマンにも自由に撮ってもらう。その分大変で特殊な方法でしたけど、一緒に模索しながら勢いをつけて撮影する進め方はこの映画に合っていたのかなと思いました。はじめは今とは違う筋立てで、そこから撮影監督が加わって、キャストが決まって、色々な人が入ってくる中で、みんなとやるんだったらこういう展開がいいよねと話し合いながら今の最終系が次第に見えてきたんです。

——ニューヨーク暮らしから東京大学の建築学科へ。そして映像の世界へ。小島監督がこの先どこに向かうのかも気になりました。

建築は幼いころから好きだったんですけど、大学のときにこれを一生やるのは違うかもしれないと悩んで。色々と手を出した中でMVなどの映像制作が面白いと四年の時に感じて、今の仕事につながってきたんです。ただ建築という話で言うと、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)のインタビューで「建築家が一番映画監督に似ている職業だ」と仰っていて。建築はデザイン、環境、電気と幾つもチームがあって、その上に建築家のビジョンがある。映画の現場も同じです。めちゃくちゃカオスな中からひとつの方向性ができて作品が生まれるところが似ていると共感したんです。なので、建築の影響もあるのか、どう映画をつくりあげようかと考えるのは毎回やっぱり楽しいんです。もっと色々なことを学んでいきたいですし、もっとたくさんの人たちと一緒に仕事をしていきたいです。

2021年11月20日(土)渋谷・ユーロスペース他全国順次公開!